外遊帳 2008 秋

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12月14日(日)と、20日(土) 納竿だなあ

どうも今ひとつ過酷な中で、「今年の釣りも終わりだな」と思えなかったからなのか、7日からさらに2週間川に顔を出した。



14日は朝7時の帯広の気温が零下15度以上ということだった。下流域は見事に氷に多い尽くされ、中流域から上は昼頃まで蓮氷がずーっと流れ続けた。無論ガイドは3回も投げれば凍りつき、ライントラブルも多発、2個のスプーンを振り切ってしまったのに、一度のアタリもなかった。そんな過酷な状況の中、私は一人ポイントを求めて氷の川に腰まで浸かりながら歩いていた。対岸まで40mぐらいのところで立ちこんでスプーンをキャストしているとき、目の前の木にオオワシが止まっているのに気がついた。対岸の木から私を見下ろすように止まったそのワシが目が「バカな人間がいるなあ」と言っているように思えて、なんだかおかしくなって、川の中で笑ってしまった。昼頃、少し暖かくなってきたが、用事があったため、釣りはそこまでとした。
20日はまつさんと行った。この時期にしては暖かく、この週1週間気温が高かったせいもあり、下流域まで川は凍っていなかった。流れてくる氷もないし、水の色も良く、釣れそうな雰囲気があったが、全くダメ。帰る頃、シロさんからやっと一匹釣れたという情報が入ったが、我々は無釣果であった。2,3尾釣って、納竿としたかったところだが、釣れない釣りで終わるのも私らしいかもしれない。



12月7日(日) 納竿かなあ

昨日の晩、日曜日の釣り場の予想最低気温が10℃以下、最高気温でもプラスにならないという話を聞いて、どうしても釣りに行きたくなった。釣り場で寒い思いをしたり、凍りついたガイドに苦労したりしないと最後って気がしない。今年はあまり釣り場で寒い思いをしていないので、ものたりない。私も変態なのだろうね。

朝一はオオワシなどを探しに行き、9時ごろポイントに着いた。
岸に氷が少し張り出し始めていたし、ガイドは凍ったけれど、風がないので寒さはそれほどでもない。


この木にオオワシが8羽止まっていた。


いい感じでしょ?最高だよ。やっぱ、まだ行こうかな。

午前中で10本くらい釣り、数はまあまあ満足がいったけれど、サイズが最大でも56,7cmだったので大きいのを求めて少しさまよい、結局3時前までは釣りをした。
途中少し風が出たときには、ちょっとだけ寒かったけれど、1日を通して穏やかだった。
人のいないところを探して釣っていたので、日曜日だと言うのに殆ど釣り人には遭わず、広い空の下でのんびりと釣りができた。結局大きいのは出なかったし、午後からはあまり釣れず、数は合計で14、5本だったけれど、とても満足できる釣行だった。
今日はスプーンとジグミノーでしか釣っていないから、昨日のミノーと釣り方やアタリが違うのは当たり前だけど、小さい小さいアタリを乗せる感覚は職人的で楽しい。昨日の夜Hiroshiさんが言っていた、フォーリングで喰わせるということも実行できたし、沖でかける楽しさも味わった。

ただ、このくらいの寒さじゃあ、納竿って感覚がしないのだよなあ。来週ももしかすると行っちゃうかもしれない。行くにしても、鳥見とセットだとは思うけれど。

魚は白銀で、コンディション抜群のものばかりだった。



そういえば、旭川で購入したモモヒキと靴下はとっても良い。とくにモモヒキは軽くて温かくて最高の履き心地だ。普段家でも履いている。もう一本欲しいな。

12月6日(土) 色々な人と会ったけどHiroshiさんとは夜だけしか会っていない。

土曜日午前中鳥を見て、昼頃ポイントに着いた。なぜ土曜日も釣りに行けるかと言うと、金曜日飲み会だと妻に行ったら、例によって「実家に帰らせてもらいます」と言いつつ娘を連れてどっかにいっちゃったからだ。悲しいなあ。土曜日も土曜の夜も日曜日も、体があいちゃったよ。


ホッチャレのアキアジを狙いにきているオオワシ

この日は面白い日で、一人で釣りに行ったのに、色々な人と出会った。
まず、春に阿寒湖でご一緒させていただいたYunさんに会い、すぐ次にakaさんに会った。Hiroshiさんとは電話で話した。対岸にいるそうだ。
釣りの準備をしていると、シロさんが現れた。じゃあ、一緒に釣ろうと言って始めると、まつさんが来て合流した。


この日は全部ミノーで釣った。

魚は思ったようには出なかったけれど、ミノーで3尾釣れたので、私には十分だ。
ただ、バラシた2本が大きめだったのが、ちょっと悔やまれる。特に最後の一尾はあわせたときの重量感や首振りの感触で「よっしゃー」と叫んでしまい、直後にバラした。恥ずかしいし、もったいない。

夜はHiroshiさん、まつさんと一緒に町で夕飯を食べた。焼き肉屋さん→HIROSHI’BARというコースで、とても楽しい時間を過ごした。Hiroshiさんの5週連続となる遠征(この人も頭がアレなんだろうなあ)の締めくくりということで、この日は是非会いたいと思っていたので嬉しかった。しかし、釣り場でこれだけ色々な人と偶然に会ったのに、、Hiroshiさんには川で今シーズン一度も会っていない。夜の街では3回もご一緒させていただいているのにね。


11月30日(日) Ryuさんとあさみさんとアメマス釣り

よせばいいのに娘が水泳を習い始めた。そういうのは勝手にやればいいのだが、問題は毎週土曜日の午後、妻が水泳に付き添っている間、下の娘の子守をせねばならないということだ。うーむ。勘弁して欲しいなあ。
そんなわけで、土曜日は、料理を作りつつ、ちょっとだけ仕事をしたりと、ダラダラと過ごした。


これは暇つぶしの工作。こういうのはゴミになるのでやっかいだ。

で、日曜日、先週、Ryuさんがとても良い釣りをしたそうで、そこに行こうというお誘いがあった。
珍しく、少し早めに家を出る。と言っても、7時だけど。
Ryuさんやあさみさんと一緒に釣りをするのは久しぶりで、最近では飲み会でしか会っていないような気もする。先週釣れたポイントで次の週も爆釣などということは、釣り歴が長くなればなるほど「ありえない」のは知っていたけれど、私はそこそこ釣れれば満足なので、どこでもOKだ。


こういう時間に行くのは久しぶり。写っているのはRyuさん。

釣り始めてからしばらくはアタリもあり、6尾のアメマスを釣った。3連荘もあって、お、調子いいかなと思ったけれど、後が続かない。
根掛かりが激しい場所なので、ルアーをたくさんなくしてしまい、とても落ち込んだ。
夕方まで釣って、朝の6尾以外は全く釣れなかった。
まだ釣れるだろうと、写真を撮らなかったので魚の写真もない。

けれど、生半可な車では絶対に入っていけないレアなポイントだったので、それはそれで貴重だったかな。
というわけで、魚の写真がないので、代わりに昨日作った料理を。


妻が買ってくれた、赤薩摩。これとタコの刺身をつまみつつ、料理を作った。

鶏の足のオーブン焼き。塩コショウして、小麦粉を振って、油をかけて、オーブンで焼くだけの料理。娘のリクエストだ。うちのオーブンではイマイチ皮がパリッとしないのが不満だけど、美味いことは美味い。かぼちゃもジャガイモも玉ネギも、みんな家庭菜園などのもらい物。この手のもらい物は嬉しい。鶏と一緒にオーブンで焼き、ジャガイモはスープにした。昼に作ったトマトパスタの残りを付け合わせにしたら、結構ゴーカなデナーに見える。


11月23日(日) 旭山動物園に行った

せっかくの三連休だから、家族と過ごした。
過ごす羽目になったなどとは、口が裂けても言わない。
何で良い天気の十勝を離れて、ツルツル路面の雪の旭川などに行かねばならぬのだ、などとは思っていても口にはしない。だって、ボクは家族思いのパパだもの。

前日の土曜日に旭川入りし、秀岳荘で温かいモモヒキと靴下を買うことができたのが唯一の収穫だ。
モンベルのモモヒキと厚手のウールの靴下を買ったのだが、冬の十勝川に早く立ちこんで、具合を試したい。

旭山動物園は、動物園の中では素晴らしいと思うけど、所詮は動物園だ。混んでいるし、疲れる。


仕方がないので、シロフクロウの写真を撮った。野生のコイツに出会えたら奇跡だな。

11月15日(土) 娘の発表会にも行ったし、釣りにも行った。

この日は娘の保育所の発表会。
家族思いのボクだから、娘の晴れ舞台をとても楽しみにしていた。
10時ごろ家を出ると、暖かく晴れていた。しかし、できれば今日は荒れた天気であって欲しかった。
ああ、晴れた空が恨めしいなあ。大雪や強風だったら、あきらめもつくのになあ。何が楽しくて6歳児の芝居なぞ見ねばならぬのだよ。こんないい日に、三文芝居のカメラマンかよ。リバーがボクをカモンベイベイだよ。とは、思っていても口にはしない。だって、ボクは家族思いのパパだもの。

それでも1時間半ぐらいで、発表会が終わり、娘や娘の仲良しの友だちの写真もきっちりと撮り、私はお役目をきっちりと果たした。娘が保育所から出てきたときも、
「なんだよ、あの劇。面白くないよ。おまえ声小さいよ。このへタレが。」
などとは口が裂けても言わない。
「上手だったよ。」と娘ににっこり微笑みかけ、そのままの表情で妻に話しかける。
「午後から釣りに行ってもいいかな。」
娘と妻と、妻の両親はお昼を一緒に食べに行くと言うが、もうボク限界。

で、まあきち家では「悪いのは全てカレ」ということにしてあるまつさんとアメマスを釣りに行った。

釣り始めたのが2時をまわっていたので、それほどの釣果は期待していなかったが、2つ目に入ったポイントで4本のアメマスが釣れた。1本を除いて、コツコツと前アタリがあり、その後食ってくるという反応だった。どうやら今日の魚たちはやる気がないようだ。まつさんも同じくらい魚を釣っていたけど、全体的にはとても渋い日だったようで、ポイントポイントにいる釣り人達に話を聞いてもいい話は聞けなかった。

3つ目のポイントで夕暮れまで粘ったけど、私にはそれ以上アメマスは釣れなかった。でも、この間に引き続き、とてもとても楽しい釣りだった。40cm以下の小さいアメマスが多かったけれど、まつさんは60cmを1匹釣ったし、私は25cmほどの虹鱒を釣った。ここで虹鱒を釣ったのは初めてだ。そういえば、火曜日はまつさんが同じくらいのサイズのブラウンを釣っていた。


こんな下流域で虹鱒を釣ったのは初めてだ

夜は、Hiroshiさんとnaruseさん、Shinyaさん、まつさんと楽しく過ごした。
Hiroshiさんとnaruseさんとは先週と今週、2週連続でご一緒させてもらっている(飲みだけ)。
地元の私はいいけれど、遠方から来ているHiroshiさんらにとっては、あまり遅くまで呑みすぎるのは迷惑だろう。それならもう少し遠慮しろという感じだが、実はそこには、十勝の魚が遠征組によって過度に苛められないようにという、深遠なる私の思惑があるのである。
彼らのような上手な釣り人が、早朝から体調万全でアメマスを釣りまくることを阻止するのも、地元民の務めだと思いませんか、十勝の皆さん。

次の日、HiroshiさんやShinyaさんを冷やかしがてら釣りに行こうと思っていたけれど、娘が体調をこわし、腹が痛いと唸ったり、ゲーゲー吐いているので行くのを止めた。


そういうわけで、飯作りオヤジと化していた。

トマト缶を使って作ったスパゲティ。
豚ばら肉とナス、エリンギが入っている。
バルサミコ酢と赤ワインを少し入れてみたが、いい味にしあがった。
今日もまた、妻と私で二皿ずつ食べたけれど、今日は娘が食べられなかったので、張り合いがなかったな。


11月11日(火) この間の釣りとは大違いだ。なんだろうこの充実感。

7時前に道具を用意するために家の外に出た。
晴天無風。頬に感じる冷気は既に冬のそれであった。多分0℃前後ではないかと思う。

東京で育った私が北海道に来て10数年になるが、冬が嫌だと思ったことはない。むしろ私はこの土地の冬が好きだ。
アラスカに住んだ星野道夫さんが、「アラスカを好きになり、ずーっと住むかどうかは、冬が好きかどうかに関わっている」というようなことを書いていたのを、思い出した。アラスカと日本を帯広と東京に置き換えるのはスケールが違いすぎるけれども、似たところも少しはあるのではないかな。
ともかく、私はこの日の朝、そんなことを思い出したし、ここ十勝の厳しい冬を好ましく思っている。
キンと頬を刺す冷気に胸が高鳴るのだ。

7:30ぴったりに約束どおりまつさんが迎えに来て、一緒に地元の大きな河へアメマスを釣りに行った。
少し釣ってはポイントを変え、4箇所で12本の魚を釣った。
60cmを少し超える魚が2本釣れ、魚のコンディションも良かったが、それよりも、広い空の下広い河で遊べたことが嬉しかった。丸一日ほとんど他の釣り人に遭わなかった。今シーズン初めて見たオオワシが青空の中を飛んでいった。尾も肩も白くなった、成熟したオオワシであった。


まつさんが、ココで大きいアメマスを釣った。


魚のコンディションは抜群に良かった。


60cmを超える魚が2本釣れた。


夕暮れになると、充足感はピークを迎えた。

日が落ちるまで釣りをした後、まつさんを晩御飯に誘った。
一緒に近所のスーパーに行き、なるべく安い食材と、同じく安いチリ産のワインを買った。
食材費は2500円。これでまつさんと、うちの家族みんなが食べるオカズとツマミとワインが手に入る。
手羽元を大量のニンニクと酢と醤油と日本酒で煮込んだ料理は、ツマミとしても、飯のオカズとしても最高だ。圧力鍋で煮込むので、肉が骨からスッとはずれる。
その他に、刺身を二品。ニンニクの芽を使った炒め物(なんだか今日はニンニクばかりだなあ)は、我々の胃袋に急速に摂取された。刺身には見切り品二つで30円のスダチをかけた。定価は二つで380円というから驚きだ。庶民は定価では買えないよ。


左が手羽元の煮込み。右がニンニクの芽と豚肉とキノコのオイスターソース炒め

本当にいい休日だった。穏やかな晩秋の大河でのんびりと釣りを楽しみ、帰ってからもゆったりと飯を食い酒を飲む。
特別なことはなにもない一日なのだけれど、これだけ良い一日は一年通してもそんなにはない。
この間のエッグフライでの釣りはなんだったのだろうなあ。


10月27日(月) 文句のない釣りのはずなのだけれど

アメマスを釣りに比較的近所の河川に行った。
この日は人に出会わなかったし、天候も良かったし、魚もそこそこ釣れた。
ならば最高じゃないかというところなのだろうが、そうでもない。
この釣り方が心に沁みないのだろうな。
昨年も同じような気分だったから。

数は覚えていないが、30尾から40尾の間だろうと思う。随分大雑把なのだけれど、このくらい釣れると意識的に数えてないと覚えられない。あそこで10本くらい、ここで5,6本と考えるとだいたいこのくらいかなあという感じだ。サイズは最高で62cm。同じくらいの60cmちょっとという魚が5本釣れた。
文句のないサイズとも言えるが、ココでこの手の釣りをするならば、70UPという欲が出てしまうんだよね。

AM9:30に川に着き釣りを始めた。それから釣りを止めるまで他の釣り人に一人も遭わなかった。ここでは奇跡的だ。もう少し下のポイントには車が複数台止まっていたので、そっちの方がいい魚がたくさんいたのかもしれない。
それでも、カレイ釣り用の擬似卵に針を瞬間接着剤で取り付けたフライ(フライと言えるかは定かではないが)に、アメマスは反応してくれた。
普段、フライをしないので、よく反応してくれたのか、これでも渋いのかはわからない。
自分が下手糞なのはわかるけれども。

今年のフライは、きっとこれで終わりだ。次はきっと、地元の大きな川へ行くのだろうな。


まつさんも、大きい魚を釣っていた。


いい顔をしているけれど、60cmを超えても、この時期の引きは強くはない。


山女や岩魚も釣れた。



10月19日(日) 北の湿原に幻を追う5 後編

夜中に随分と冷え込み、寒さで目を覚ました。
キンゾーさんが「うぉっ、うおっ」と呻き、その後「うひひひひ」と笑った。
「いいのが釣れたのだな」と思いつつ、私も再び眠りに落ちた。
この人は、夢の中でまで釣りをしているのだ。


何はともあれ、まずは湯を沸かす

5:30。テントから勇気を出して這い出し、コーヒーとフリーズドライのチャーハンで飯を食べた。
この釣行2度目の日の出も美しかった。
キンゾーさんが、
「昨日、寝言を言ってなかったかい」
と言った。
テントが熊に襲われた夢を見ていたそうだ。
熊に襲われた夢?
「うひひひひ」?
何年付き合っても、人は誰かのことを100パーセント理解することなどできないものだ。


彼は、昨日攻めていない区間を徒歩で狙いに行き、私は昨日釣った場所までカヤックで川を遡った。
1時間ほどで昨日の場所に着き、いくつかのポイントで竿を振ったが、今日はウグイすら掛からなかった。
魚の跳ねもボイルも見られなかった。
けれど、半径数キロメートルに、誰もいないという状況は、私を高揚させた。
遥か彼方まで見渡せる風景が、全て自分のものだとういうような感覚。
いつからか、私は竿を振るのをやめた。カヤックに深く腰掛けて、ただ川の流れに身を任せた。
穏やかな水面に枯れた葦原と青空が映りこんでいる。
タンチョウやオジロワシやハクチョウが、見慣れない侵入者に驚き、カーブを曲がった先の川の中や河畔の葦原の陰や林の梢から飛び立った。

キンゾーさんはアメマスの溜まっている場所を見つけて、たくさんの魚を釣ったそうだ。
私も、それを聞いて、近くのポイントを探ったが、追いやヒットが何度かあったものの、釣り上げることはできなかった。
倒木下から潜水艦のように現れたアメマスは、時折姿を見せるシロザケと比べても劣らない大きさで、私のルアーを三度も追いかけて来た。スプーンからミノーに変えて誘うと、口先でちょっと触ったが、それを最後に姿を消してしまった。70cmを超える個体であった。

家に帰り着き、ビールを飲みながら、二日間の素晴らしい休日を想った。
体は少しだけ疲れていたが、心は完全に充足していた。記憶に残る釣行がまた一つ増えた。
アルコールのせいか、蚊に喰われたところが痒くなってきたので、鏡を見ながら痕を数えてみた。痕は顔だけで20箇所を越えていた。
鏡の中の私は、ボコボコになった頬からアゴにかけてをさすりながら、満足そうに笑っていた。

10月18日(土) 北の湿原に幻を追う5 前編


朝靄の中、静かにカヤックを進めた。

二艇のスピリーツーが湿原を進む。
靄の中、昇ったばかりの朝陽が鈍い光を放っている。こういう日は、太陽が昇るにつれ、晴天になるものだ。
まず、キンゾーさんが、ビールを飲み始めた。私もそれに続いた。こんないいロケーションの中、ビールを飲まなければバチがあたる。

この川にイトウを釣りに来るのも恒例になりつつあるが、そろそろもう1匹出会いたいものだ。
そして、なぜかこの日、私は朝からその一匹を釣るつもりでいた。釣れる気がしていた。

倒木の下に上手くルアーを通すと、アメマスが反応してくれた。
居付きの小さい個体もいたが、遡上して間もなくというコンディションのよい魚もいた。
なにより、難しいところにルアーを投げこまなければほとんど釣れないという状況が、釣りをより楽しいものにしていた。


朝陽を浴びて、アメマスが輝いた

イトウを狙う最深部に着いたのは太陽が高くなってからだった。。
日が昇ると、気温が上がった。着ていた上着やインナーを次々と脱いだが、それでも暑い。
そして、それに伴って、蚊が活発に動き始めた。
蚊からすれば、秋のこの時期を逃せば子孫を残せないので必死なのだ。
まとわりつく無数の蚊は、虫よけや薄手の長袖などお構い無しに、そこいらじゅうを刺しまくった。


一日中ルアーを投げて、お目当ての魚の姿を全く見ないということは、ここでは日常茶飯事だ。事実、ここ数年、私は一尾のイトウも拝んでいない。
日が大分傾きかけた頃、上流に置いてあった私のカヤックを牽引してきてくれたキンゾーさんが、何かが私の前で小魚を追いかけている。と教えてくれた。
ウグイだろうかと、20gのスプーンをキャストし、リトリーブを始めたその瞬間、魚が掛かった。
掛かった瞬間、それは待ち望んだ魚だとわかった。
小さかったが、岸に上げたその魚は、イトウであった。


古くから売られているスプーンに、この間のドングリ目玉を二つ貼り付けてある。


40数センチメートルの子どものイトウであった。

結局、その日にヒットしたイトウはそれだけだった。
夕日の沈む頃釣りを止め、月が昇る頃晩飯を食べ始めた。
いつものように、インスタントラーメンとおにぎりだけの晩飯だったし、ウイスキーのつまみは豪華ではなかったけれど、最高のロケーションが何にも勝るつまみとなった。白鳥座が頭上高くに光っていた。
「寒いから」と先にテントに入ったキンゾーさんと、テントの中と外で話をしていたが、すぐにキンゾーさんからの返事はなくなり、代わりに寝息が聞こえてきた。
残っていたコーヒーを飲み干し、テントに入った。私も寝袋に潜り込むと、きっとほとんど瞬間的に眠りに入っていったのではないか。


10月13日(月) 雪虫とヤジロベー

土曜日は仕事、日曜日は結婚式だったので、月曜日は釣りに行きたかったけれども・・・。いい天気だったけれども・・・。

家族みんなでちょっと遠くの公園にピクニックに行った。


親子ともに高いところが好き。高所恐怖症とは無縁の二人だ。

この時期とは思えない、とても暖かい1日だったけれど、雪虫がいた。
ユキムシはアブラムシだ。アブラムシの一生を以前調べたことがあるのだが、とても興味深いものであった。
しかし、非常に複雑なので、ここでは紹介しない。いつか機会があればと思うが、こんなページを見つけたので、興味があれば見てみて欲しい。(雪虫ってどんな虫?

北海道の秋は短い。着実に冬は近づいている。


これは多分、トドノネオオワタムシというアブラムシ


帰りに食べたアイス。これも今年の食べおさめかな。

帰ってから、拾ったドングリでヤジロベーを作った。
こんな一日も、たまには、いいかな。


ルアー用の目ン玉をつけたら、けっこう可愛くできた。


いちおう、リスのつもり。


娘が、撮った写真。気に入ったようで、嬉しそうだった。


10月5日(日) 魚は貰うものじゃなく、自ら釣るものである

「今日の外遊帳の題名は『魚は釣るものじゃない。貰うものだ』にします。」というような会話を、シロさんが2本目を釣った時点でした。「だから、今日も頂戴ね」という意味だ。
けれど、マグレ的に1匹釣れてしまったものだから、今回の表題に改めた。よかった。よかった。


朝日の昇る時間帯から釣り始めた。

釣り場に着き、15分後に最初の魚が掛かった。足もとからわずか数mの距離だ。
噂どおり、コツコツ・ツンツンとアタリがあり、「これが鮭の前アタリか」と思いつつ、先週の早アワセを反省して本アタリを待ったが、「ん?で、それでいつアワセればいいの?」などと待っているうちに、アキアジさんは勝手にフッキングしたようで、身をヒラヒラとくねらせるのが見えた。
慌てて強くあわせると、ブチッとラインが切れた。

正確に言うと、スイベルの結び目が取れてしまったようだ。ずーっとつけっぱなしのスイベルだった。まあ、どうせ釣れないだろうしと、ちゃんとチェックもせずに釣り始めたことに敗因がある。前日にアキアジ用の浮きを2つとルアーを3つ買ったのだが、始めて15分で浮き1つにルアー2つしか戦力がなくなってしまった。
こういうときにこれっきり釣れないというのは、ありがちだなあと、不吉な思いがよぎる。
これまでの釣り人生で、タックルの準備を怠って痛い目を見るという経験は何度もしている。それでも、再び同じ過ちを繰り返す。成長のない私である。


シロさんの釣った2本目のアキアジ。綺麗な魚だった。

その後、一度足もとまで魚が追ってきたのは見たが、それ以外は釣れる気配もなく予感が現実のものになりそうだった。そんなことを覚悟し始めた頃、コツッとアタリがあった。そのままゆっくりゆっくりリールを巻くと、また、コツッというアタリ。「食え」「食え」と巻き続けると、浮きがスーッと引き込まれた。強烈にアワセると、グンという魚の感触。しっかりと重みの乗ったロッドがグーっとしなり、魚は何度か走った。大事に大事に寄せて、シロさんにタモですくってもらった。小さいけれど、銀色の綺麗な雌鮭であった。


少し小さいが、いいコンディションの魚だったので大満足

午後早く家に帰り着き、今日は家族だけの鮭祭りだ。
釣り場でまつさんから「今日は何時から飯ですか」というような電話があったが、適当にあしらった。




アラ汁、塩焼きなど、いつもの料理の他に、今日は半身分味噌漬けにした。味噌漬けは数日後の楽しみだ。
妻と娘のために、先週のいくらで軍艦巻きを作ってみた。不恰好なわりにめんどくさいので、4つ作って止めた。だって、軍艦巻きの隣の写真(いくらぶっかけ飯)でいいじゃん。軍艦巻きは娘がスゴク喜んだけどね。
なぜか家にあるオリオンビールで今日の釣果に乾杯した。


今回の大ヒットは、鮭モツの煮込みだ。

何年か前に作ったときには、イマイチだった。不味くはなかったが、もう一度作ろうとは思わない味だったのだ。しかし、今回は上出来だった。料理法や調味料など、適当にカンで作ったのだが、我ながらいい感であった。赤だしと白味噌の割合も丁度良いように感じる。酒のつまみにも飯にもよく合う料理になった。味噌はモツの味がしみて美味くなっているし、モツも味噌の味がしみて美味くなっている。モツの部位による歯ごたえの違いが面白い。

1、よく洗う。胃や腸は開いて中を水で洗う。今回は一度湯がいてみた。
2、酒を加えたお湯で、生姜とニンニク、ネギの青い部分と一緒にモツを煮込む。   灰汁をとるのも大切だと思う。
3、砂糖、赤だし味噌、白味噌を加え、さらに煮込む。

4、ためしに入れたひとかけらのダイコン(ながしに落ちてた)が美味かった(妻しか  食ってない)らしいので、今度はもっと入れようと思う。
5、味を見ながら少し煮詰めて、美味しくなったらできあがり。